懐中のトッケイ

わたしはここでかわいていく

短歌

連作30首『ひとを呼びますよ』

呼ばれない集まりはいつも過去形で僕の向かいにやってきて座る 窓の外を雨が通ってゆく先に控える我が十日分のパンツ シリアルの命短し牛乳の中でひそかに変生(へんじょう)を遂げ 水をやるつもりで日ごと見送って枯らした多肉の一葉の伸び 湿気てなお棚をい…

連作30首『芳子(よしこ)のあと』

電話には出られずメールにて知りぬ金曜の朝祖母頓死せる 肉親の訃報を開きし親指にぞぶりぞぶりと血は脈打てり 折り返し掛ける電話に母はまたなんと明るい声で出るのか 通夜は土曜、式は日曜どこそこで、やや早口で伝えくる母 落ち着くにひとりフロアをうろ…

連作15首「稽古の納め」

※ちょっと神道関係の言葉が入るので、意味を調べてもらうとより結構です。 ――――――――――― 一年を稽古で締める数寄者の二十余名の顔ぶれを見る 大祓を上げをる声に師の若き神職のころを思ひつつゐる 柏手を打てば神事はやみゆきて一礼の間に指に入る熱 病みてな…

連作50首『八畳魔のかんぴんたん』

5月に角川短歌賞に応募した。ひーこら言って作った50首。 数ヶ月前のことなのにもうずっと前に思える。今見返したって拙い歌。 でも確かに、あのときのわたしのいちばんを出した。 もちろん結果はなしのつぶてでかすりもしないが、きっとこれでよかったのだ…

飴町ゆゆき自選50首

2月に短歌を始めて半年が経った。 うたの日で題詠歌会に参加すること3ヶ月余り。6月からはTwitterでフォロワーから題を募っての作歌が多くなった。その間も月1回、名古屋で常時10数名規模の歌会(大辻隆弘氏主宰:オアシス歌話会)に参加させてもらうなど。 そ…